企業大注目!推し活マーケティングの始め方

今や幅広い世代で熱狂的にハマる人が増加し続ける「推し活」は、企業にとっても軽視できない巨大なマーケットへと成長しています。
ファンとの信頼関係を構築することで生まれる強力なSNS拡散力は、従来の広告手法では得られない大きな成果をもたらすでしょう。
とはいえ、単なるコラボ企画をするだけでは簡単にファンの心を掴めません。
そこで今回は、企業注目の「推し活マーケティング」について、押さえるべきポイントや具体的な手法、活用事例などを詳しくご紹介します。
目 次
推し活マーケティングとは?

推し活マーケティングとは、自分の好きな人やモノを応援するユーザーの消費行動、すなわち「推し活」に注目したマーケティング戦略のこと。
自社とのコラボ商品やイベント企画を通して消費者の推し活を促進させて、売上拡大やブランドの価値向上につなげていく手法です。
具体的な例としては、下記のような案件が挙げられます。
- 人気タレントやアイドルのCM・キャンペーン起用
- 女性に人気のイケメンキャラクターとのコラボグッズ販売
- 男性から支持の厚いゲーム作品とのコラボ飲食メニュー開発
このように、ファンにとって「推し」となる対象と企業が絶妙なコラボレーションをするのが推し活マーケティングです。
推し活マーケティングが注目される理由
現在「推し活」はアイドルやマンガのキャラクターだけでなく、スポーツや文化などさまざまな分野に広がりを見せ、幅広い世代に浸透しています。
そして「推し活」に積極的なファンは、公式グッズだけでなくその他の関連商品に対しても高い購買意欲を持つので市場規模は現在も拡大し続けています。
また、推し活マーケティングは今後の主要な消費者となる若年層との接点を持つ絶好の機会となっている部分も注目すべきポイントです。
推しとのコラボ商品・サービスを通してターゲットとなるユーザーと感情的な結びつきを構築できれば、短期的な売上増加のみならず、長期的なブランド育成も期待できるでしょう。
Z世代にとって推し活は日常の一部
16~26歳のいわゆるZ世代に当てはまる男女にとって、「推し」の対象となる人物やキャラクターがいるという人は、全体の半分以上にも及ぶとされています。
そしてZ世代はSNSを活発に利用しているため、推し活はもはや「日常の一部」と捉えている人も少なくありません。
つまり、SNSを活用した推し活マーケティングが成功すれば、企業は低コストで口コミ効果や宣伝効果を得られるだけでなく、ブランドの認知度向上、新規ファンの獲得にもスムーズにつなげやすくなるでしょう。
企業が推し活マーケティングで成功するための4つのポイント

単なるコラボ企画をするだけでは、当然ファンの心は掴めません。
ここでは、企業が推し活マーケティングで成功するための4つのポイントをご紹介します。
① 「推し」を主役にしたコラボを企画する
推し活マーケティングの対象は、当然ながら売り出したい商品やサービスのファンではなく新規顧客=「推し」のファンです。
そのため、企業は自社の宣伝よりも「推し」の魅力や世界観を最大限に引き出すことに徹する必要があります。
企業は推しの活躍の場を演出し、ファンに特別な体験を提供する「黒子」としてのスタンスを持つことが成功の鍵。
一方的に商品やブランドを前面に出すような戦略だと、「推しを商売道具にされた」とファンの反感を買うリスクさえあるため注意しましょう。
② 自社商品と「推し」に関連性をもたせる
推しへの愛着という感情的な価値、そして商品の機能的な価値を無理なく結びつけることで、ファンは熱量をもって対象のものを購入し、満足度を高めます。
- 推しのイメージカラーを商品カラーとして展開する
- 推しの好きな食べ物とコラボする
- 推しの世界観を表現したデザインを施す
上記のように、ファンが「これは推しのためになる」「推しとつながれる」と感じられる論理的な接点を作り出すよう意識してみましょう。
③ 形に残るコラボ商品にする
推し活の重要な要素として、「記念」と「持ち運びやすさ」があります。
ファンは購入したグッズを日常生活の中で楽しむだけでなく、それをSNSで共有することで推しへの愛を最大限に表現して仲間とも共感し合います。
たとえば写真映えするパッケージデザインや長く使える雑貨、持ち運びしやすいアイテムのように「形として手元に残る」「ファン活動に使いやすい」商品はより効果的です。
ファンが喜ぶようなグッズに仕上がるほど積極的にSNSに投稿され、自然に嬉しい拡散へと結びつきやすくなるでしょう。
④ プラットフォームの機能を有効に活用する
推し活マーケティングで成功するためには、単に情報を発信をするだけでなくファンが「参加しやすい」「共有したい」と思える仕組み作りが不可欠です。
具体策としては、下記が挙げられます。
- SNSのハッシュタグキャンペーン
- リポストによる特典付与
- オンラインでのファン参加型投票企画
- 限定デジタルコンテンツ
こうした工夫を取り入れて、ファンの自発的な行動を促しましょう。
ファン同士の交流を促進し、一体感を生み出すような「コミュニティ形成」の要素を取り入れると、熱量の高い口コミが生まれてマーケティング効果の最大化を期待できます。
実践!推し活×企業コラボを成功させる5ステップ

企業が推し活マーケティングを取り入れる際には、ファンの心理と行動を深く理解した戦略的なステップが必要です。
ここでは、具体的な5ステップをご紹介するので初心者の方はぜひ参考にしてみてください。
STEP1:ターゲット(顧客層)を決める
推し活マーケティングは、不特定多数ではなく、特定の「推し」を持つ熱量の高い層に焦点を当てる手法です。
その成功への第一歩は、自社の商品やサービスを広めたいターゲットを明確にしておくこと。
顧客層の年齢や性別、居住地、職業、趣味、ライフスタイルなどできる限り細かく設定する作業からはじめてみましょう。
STEP2:ターゲットの趣味や「推し」を分析する
ターゲット層が決まったら、その層が愛する「推し」の文化やファンコミュニティの特性を徹底的に分析しましょう。
単に人気の高そうなコンテンツを選ぶだけではなく、その世界観やキャラクターの性格、グループや作品の核となるストーリー、ファンの間で使われる専門用語なども研究してください。
また、リサーチによって得た情報をまとめたとき、自社のブランドイメージや商品コンセプトと乖離していないかもきちんと確認しましょう。
世界観が一致するほどファンに受け入れられやすいものとなり、マーケティングの失敗を防げます。
STEP3:自社製品と「推し」の関連性を探る
世界観のつながりを持たせることに成功したら、より「推し」の存在を引き立たせるために両者の関連性をさらに見つけ出していきましょう。
この関連性の有無が、ファンに「購入する強い理由」と「推しを応援する大義」を与えます。
「推し活」のニーズに合わせた既存商品のアレンジ、一から「推し活」に特化した新商品の開発なども適宜検討するとよいでしょう。
STEP4:具体的な施策を慎重に企画・実行
ターゲットの行動様式に合わせた具体的な施策を設計したら、実行に移します。
このとき、「拡散したくなる仕掛け」があるかどうかが重要なポイントとなるでしょう。
また、推し活文化にはファン同士の暗黙のルールや企業が触れてはいけないタブーが存在することも。
これらを無視するとファンの反感を買い、「推しへのリスペクトがない」と判断されて炎上するリスクがあるため要注意です。
STEP5:リリース後は定期的に効果測定
リリース後は目標達成度を測定し、ファンからのフィードバックを拾いつつ次の企画に活かしましょう。
推し活のトレンドは変化が早いため、定期的かつ継続的な改善が不可欠です。
「グッズのクオリティが低い」「特典が魅力的ではない」などのネガティブなフィードバックは、ファンの期待値の高さの裏返しとして真摯に受け止めるとよいでしょう。
どんな意見にも丁寧に向き合っていけば、「ファン心理を理解して尊重してくれる企業」とプラスのイメージを定着させられて長期的なブランドロイヤルティの構築にもつながるでしょう。
企業による推し活マーケティングの活用事例

すでに推し活マーケティングを成功させている企業は数多くあります。
ここでは、企業による推し活マーケティングの成功事例を3つご紹介します。
タワーレコード×推し活グッズ
大手レコードショップのタワーレコードは、推し活グッズの先駆者として知られています。
音楽ファンをコアなターゲットとする事業特性から、企業と推し活の親和性が非常に高い企業です。
単なる商品販売に留まらず、ファンがより快適に楽しく推し活を行えるよう、ファン目線に立った便利グッズを企画して販売していることでも有名。
- 推しのアクスタ(アクリルスタンド)を持ち運んで収納するためのケース
- トレーディングカードを保護したり整理したりするためのファイル
- ジャンボうちわを持ち手までしっかり保護できる透明のキャリーケース
- コンサートの演出で使われた銀テープを入れられるキーホルダー
上記のように、ファンが「あったら良いな」と感じる細やかなニーズを捉えた商品展開が特徴です。
サッポロビール株式会社×ゴールデンカムイ
サッポロビールは、北海道を舞台にした大人気漫画「ゴールデンカムイ」とのコラボが好評です。
コラボデザイン缶やノベルティグッズなどさまざまな展開がされており、「食」「北海道」という漫画と企業の共通点を上手く活かした製品がブランドの価値向上にも大きく貢献しています。
このコラボはテレビアニメが放送された2018年から定期的に続いており、常に原作ファンとビールファンの双方から大きな注目を集めています。
名古屋市営地下鉄×映画「8番出口」
名古屋市交通局は、乗客の誘致と地下鉄利用の促進を目的に、国民的アイドルを主役に起用した大人気ゲームの映画化作品「8番出口」とのコラボイベントを実施しました。
これは、日常的な交通手段である地下鉄という場所を、映画の世界観に合わせて「非日常の体験の場」に変える斬新な推し活マーケティングの事例です。
駅構内には映画に登場する「異変」を模したトリックアートやポスターが掲示され、作品同様に「異変探し」を体験できるとい仕組みに。
このイベントは地下鉄の利用率向上だけでなく、SNS上でも注目のイベントとして拡散されるなど話題化にも成功しました。
企業による推し活マーケティングの失敗例

最後に、企業が推し活マーケティングで失敗したときに考えられるいくつかのケースをご紹介します。
せっかくの機会を無駄な結果に終わらせないためにも、ぜひ念頭に置いてみてはいかがでしょうか。
自社のターゲット層とのズレ
推し活マーケティングの目的は、推しのファン層を自社の見込み客として取り込むことにあります。
起用した推しと自社の本来のターゲット層が乖離していると、期待したマーケティング効果は得られないでしょう。
たとえば、高価格・ハイクオリティな商品を扱う化粧品ブランドが、購買力の低い若年層を中心に人気のアイドルを起用してもファンの多くは商品自体に手が出せません。
こうした安易なコラボは、既存顧客からも「ブランドイメージが損なわれたと」感じて離れてしまうような可能性さえあります。
「推し」への理解不足
関わるコンテンツへの理解が乏しいままマーケティングを進めると、思うような成果が出ないまま終わるだけでなく炎上を招く可能性もあるかもしれません。
推し活マーケティングのよくある失敗は、企業が「推し」の存在を単なる「人気の広告塔」としか捉えておらず、その本質的な価値やファンが抱く感情を理解できていない問題が根源にあります。
ファンにとっての「推し活」は、単なる商品購入ではなく自己表現や人生の充足感に深く関わる対象であることを理解しましょう。
世界観の捏造
これも理解不足に通ずるケースではありますが、たとえば男らしさ・逞しさを強く反映したようなキャラクターに、主婦層向けの清掃グッズやキッチングッズなど、イメージと相反するアイテムを持たせるような使い方は避けるべきでしょう。
ファンが長年愛し、守ってきた推しの「聖域」への侵入と見なされ、炎上につながる恐れがあります。
ファンは推しの持つ世界観や歴史、キャラクター設定、言動の倫理観に対して非常に敏感です。
企業がコラボレーションを行う際、自社商品の都合に合わせて推しのイメージを強引に変更したり、設定を無視した展開を進めたりすると、「推しの世界観を汚された」と感じて激しい反発を引き起こしかねません。
企業の一方的なPR
企業側が「一方的な情報発信」に終始すると、ファンとの信頼関係を築くことができず失敗に終わってしまいます。
ファンはSNSやコミュニティを通じて、コラボレーションに対する期待や懸念を活発に議論しています。
こうした「生の声」を十分にリサーチせず、企画の段階からリリースに至るまで企業側が一方的な発信をしていては、ターゲットとの間にズレが深まるばかりです。
また、キャンペーンの告知、商品の梱包、問い合わせ対応などもファンの立場にならず事務的に行い過ぎるのはNG。
「愛のないビジネス」と捉えられてマイナス効果を生み出しては本末転倒でしょう。
まとめ
推し活マーケティングは消費者の深い感情と結びついた、非常に強力なファンベースの構築戦略です。
念入りにターゲットを絞り込み、今回ご紹介したファンの心理や成功ポイント、5ステップなどを把握した上でぜひ取り組んでみてくださいね。
株式会社エフエーエスでは、業界や企業ごとのニーズに沿ったマーケティングを得意としています。
推し活マーケティングに関する不安やお悩みなどをお持ちであれば、ぜひお気軽にご相談ください。
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